最近熱い街、北上

2023.09.22

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岩手県北上市は、近年の岩手ブームの中で盛り上がりを見せている街である。 そもそも岩手ブームなどあるのかと思うかもしれないが、2013年のあまちゃんから始まり、ニューヨークタイムズ紙で2023年度世界のいくべき都市第2位に盛岡(1位はロンドン)が選ばれ、ポケモンの新ストーリーはキタカミの里という畳み掛け具合である。 そこで私は一人、実家秋田県の隣県である岩手へ向かった。 各都市の詳細な盛り上がり具合はここでは書ききれないので省くが、北上は元気のある街であった。 私はすでに一日で花巻、遠野を訪れ、帰り道に北上のさくらホール前を通ったところだった。 夜道にぽぅっと浮かぶ赤提灯を見かけて、灯りに吸い込まれる蛾のように、私の足はふらふらと祭り会場へ吸い込まれていった。 どうやら地元の小さな納涼大会のようだが、若い人が多く、東北の地方にしては元気がある。 地元のブラスバンドとローカル芸人、セミプロの歌手を招いた地方によくあるお祭りに見えたが、ファミリー層がみんな参加していて気分がいいのだ。 だがどうしても、「まあお盆も近いし帰省した若い人が参加しているんだろう。明日にはこの田舎も閑散としてるさ」と思っていた。 だかそのマイナスな考えは、この後すぐに覆されることになる。 皆んな踊りのフリが完璧なのだ。 当然ながら、踊りのフリはすぐには覚えられない、子供なら尚更。 それが皆んな完璧なのだから、地元で練習をした沢山の若い人たちが踊っているということだ。 私はここではっとさせられた。 人口減少が叫ばれるこの次代、てっきり地方はもう元気がないのだと思っていた。 だが自分のこんな近くに、これだけ元気を持った街があるのだと気づかされた。 まだこの国の地方も元気はあるのだと希望が持てた、2023年の夏であった。

この記事を書いた人

齊藤 竜馬

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